Jack's World
Photos, comments, and sometimes musics...
雑用係という役目は、
考えようによっては
じつに「いいもの」なんです。
どうでもいい人間なのですから、
どこにいても何をしててもおかしくない。
アニメーターのところに行こうが、
撮影に行こうが、なにをしようが、
誰にもあやしまれない……。
「こないだ入った新人が、
ウロウロしているだけだろう」
誰にだって、そう思われるだけでしょう?
だから、勉強する気さえあれば、
いくらでも勉強することができるんです。
地位を与えられたほうが、
ずっと、勉強をする機会は減りますよね。
たとえば絵を描く人でも、
「動画」という役目から
「原画」という役目になってしまうと、
原画同士は、もう教えあわないですから……
教えあうこともありますが、
やっぱりちょっと、聞きにくくなるんです。
つまり「聞いておぼえる」とか
「教えてもらえる」ということについては、
地位がある人であるほど不利になるわけです。
社長なんかになったら、
誰も何も教えてくれない。
むしろ、まったく無視されているぐらいの
立場のほうが、自分の意欲と好奇心さえあれば、
いろんなことが学べるんです。
雑用係なら、その立場を
生かさない手はないんじゃないかと思います。
いまは、「自己実現」なんていうことが
よく言われていますし、
若い人は勝手に、最初から自分が
しかるべき役目を与えられて
ちゃんと働いている姿を
思い描くのかもしれないんですけど、
そうならなかったとき、
ただ不安にかられたり、
自分を生かす場所じゃないなどと
あせったりするのはバカげていると思います。
ぼくは
「最初は雑用係のほうがいいよ」
と言いたいぐらいなんです。
与えられた仕事がつまらないとか、
「教育してくれない」とか
「自分の才能を生かしてくれない」などと、
会社が自分のほうを向いてくれないことに
ただ不満をつのらせるだけでは
どうにもなりません。
そんなヒマがあったら、
その間に自分でおぼえられるものは、
みんなおぼえようとすればいい。
責任のない状態だからこそ、
ラクにふるまえるというかなぁ。
雑用をしながら、どんどん
見たり聞いたり質問したり考えたり、
自分のためにその無責任な立場を
役立てたほうがいいと思います。
by 高畑勲
宮崎駿・高畑勲・大塚康生の好奇心。